グルーヴの正体〜従来のギターメソッドとQactusカクタスの力
- 2018.09.29
- Qactus-カクタス
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Qactusで再起をかけようというギター挫折者の皆さん、あるいはそこそこ長くやってるのに上達せずお悩みの皆さん。
楽器挫折者救済合宿主宰でありQactus開発者の私がなぜメトロノームでの練習を推奨するか、今回きちんと説明しておこうと思います。
これはビギナーに限らずですが、メトロノームは「テンポ感を矯正するマシン」だと思われている節があります。
メトロノームを使った練習というのは、「テンポ感を矯正する」以上の意義があるんですが、実はほとんどの人がそれを知りません。
メトロノームが導こうとしているもの
たとえばまったく同じ楽譜をもとに、そのうちのわずか1小節のフレーズを5人のプレーヤーが演奏したとしましょう。
仮に、譜面上は5人みんな同じことを楽器できちんと再現できているとします。 しかしながらその5人の演奏には、どうやってもそれぞれ個人差のようなものが出ます。
この意味、わかりますか?
音符上まったく同じことを演奏しているにも関わらず、上手に聞こえる演奏と、そうではない演奏とが出てくるんです。
その差を分ける要因のうち、最も影響力の大きなものって、何だか知ってます?
実は「グルーヴ」なんです。
リズムを知る
グルーヴはリズム感とはちょっと意味合いが違っていて、「何かにリズムを合わせる」みたいな受動的なものではなく、内からの表現力に関わるものであり、演奏スキルの重要な部分を占める要素です。
グルーヴの正体を知るには、リズムの正体を理解する必要があります。
手前味噌ですが私の個人blogに関連記述があるので、まずはそちらを読んで戻ってきてください。
きりばやしひろき千年日記
『リズム感だけでなく、演奏を手っ取り早く向上させる方法』
http://dashman.org/blog/archives/378
ついでに、別の日のblogにメトロノームについて重要な記述があるので、そちらもぜひ。
きりばやしひろき千年日記
『楽器演奏、真似事の域を脱したい人へ』
http://dashman.org/blog/archives/370
という訳で、これらを踏まえた上でいよいよグルーヴの正体について切り込んでいきます。
グルーヴの正体
グルーヴの話をするためには極めて重要で、知識として絶対に避けてはいけない部分なので、くどいようですがリズムの三要素のことを書きますね。
- パルス(実際には聞こえないし、目にも見えないもの)
- 拍子(実際には聞こえないし、目にも見えないもの)
- リズム(実際に音波として空気を振動させ、耳に届くもの)
このうちのパルスについて説明します。
パルスとは「脈動」つまり皆さんの手首でドクドク言ってるそれのことで、定義としては「一定の強さ、一定の間隔で規則的に繰り返される刺激」のことをいい、音楽用語としては日本語で「拍」と訳されます。
「拍」というワードには馴染みがありますよね。
運動会の入場行進の時に手拍子で刻むアレも一種の「拍」です。
しかしながらここでいう拍はちょっとだけ別のものだということを踏まえておかなくてはなりません。
さて、先ほどの説明で「刺激」と言いましたが、つまりこれは「音」であるとは限りません。
音ももちろん空気を振動させる刺激ですが、光も刺激だし、電気も刺激だし、匂いも刺激だし、風も刺激だし、熱も刺激だし、低周波治療器のブルブルも刺激だし、身震いも刺激だし、脳の中でイメージする「何か」も刺激です。
ここで言うパルスとは、一番最後に例に挙げた「イメージ」に近いものだと思ってください。
頭の中に描く「一定の強さ、一定の間隔で規則的に繰り返される刺激」のことをパルスと言うのだということをまずは理解しましょう。
パルスは本人の身体の中には明確に宿っていますが、(その本人が露骨にそのパルスを身体で明確に表現しない限り)他者からは決して見えません。
グルーヴを定義したり、説明したりするのは非常に難しいことなのですが、今まさにQactusで再起の望みをかけようとしている皆さんにも実感できるよう、グルーヴの正体を「大きな古時計」で解説します。
これ(↑)を歌ってみてください。
おそらく皆さん、口ずさむことはできたと思います。
次に、「■」マークをパルスだと仮定し、パルスのタイミングで手拍子をしてみましょう。
(本来パルスは明確には聞こえないものですが、ここではあくまで「検証」として手拍子で音を出しながら進行します)
パルスの定義は「一定の強さ、一定の間隔で規則的に繰り返される刺激」なので、その手拍子が「一定の強さ、一定の間隔で規則的に繰り返される刺激」でなければなりません。
不規則な強さだったり、不規則なタイミングだったりしたらアウトです。あくまでも無機的に刻むことを心がけてくださいね。
さて、先ほどの「歌」と「手拍子」を、このようなタイミングで重ね合わせてみましょう。
もっと分かりやすく、手拍子(=パルス)と歌を重ね合わせた図を用意しました。
これで、歌を口ずさみながら手拍子(=パルス)を刻んでみましょう。
くどいようですが、パルスの定義は「一定の強さ、一定の間隔で規則的に繰り返される刺激」です。
これがきちんとできないうちは先に進んでも何も得られないので、ひとまずこれをクリアしてみてください。
慌てず、落ち着いて、ひとつひとつの言葉と手拍子(=パルス)の関係を確かめながら行なってください。
慣れれば、よく歌に合わせて手拍子する「あの感じ」だったのだということがピンと来る筈です。
つまり、誰もがどこかでやっていることであり、そんなに難しいことを求められている訳ではないので、落ち着いて確実にクリアしてください。
さて、次に移ります。
先ほどの要領で、以下の指示通りにパルスのタイミングで手拍子しながら同じように口ずさんでみてください。
これは、よく酔っぱらいが宴会でハッピーな演歌や祝い歌を歌いながら手拍子を打つ際にやる「もみ手」のイメージ。
同じ「大きな古時計」でも、手拍子(=パルス)が変わることでリズム感が変わるという事実を、まずはここで味わってみてください。
酔っぱらいが「もみ手」で打つ手拍子は、グルーヴ感という意味での軽快さはなく、重たい感じになることを確かめた上で、次に進みます。
ここからは逆に、パルスの解像度(頻度)が上がります。
パルスの数は多くなりますが、歌のテンポは変わりません。
くどいようですが、パルスの定義は「一定の強さ、一定の間隔で規則的に繰り返される刺激」なので、先ほどよりも手拍子が忙しくなりますが、必ず「一定の強さ、一定の間隔で規則的に繰り返される刺激」であることを確かめながら以下にチャレンジしてみてください。
先ほどの「もみ手」に比べると、リズムに躍動感が宿っていることがわかるでしょう。
さあ、更に手拍子(=パルス)をその倍の解像度(頻度)にし、同じように口ずさみながらやってみますが、手拍子(=パルス)をあまりに忙しく刻み続けなければならないため、あまり元気よく手拍子を打つとヘトヘトになるので、手の平と平が触れてちょっと音が出たか出ないかぐらいの感じで軽快にやってみるとよいと思います。
これまでのパターンの中で最もパルスの解像度(手拍子の頻度)が高い「大きな古時計」でしたが、どんな印象を受けましたか?
そもそも、このパターンを再現できないと聞き比べられないと思うので、もし自分でどうしても再現できなかったら、友人知人親戚縁者の中でリズム感あるいは勘のよい器用な人にこの一連の流れを代行してもらいつつ、聞き比べてみてください。
もし誰もいなかったら、最後の手段で楽器挫折者救済合宿にご参加いただければその場で証明しますので安心してください。
しかしながらその最後の手段にすがる前に誰か良い人が身近に見つかることを祈っております。
グルーヴのまとめ
という訳で必要な検証はひと通り終了しました。
これらを経て既に皆さん気付いているはず。
同じテンポで歌われている「大きな古時計」ですが、パルスの解像度が高くなる(手拍子の頻度が多くなる)ほどグルーヴは増し、逆にパルスの解像度が低くなる(手拍子の頻度が少なくなる)ほどグルーヴは失われていくのです。
そして基本的にグルーヴ感のある音楽を奏でる際、演奏者に求められるのは「出来る限り高解像度のパルス」であります。
これにより、グルーヴのある演奏が実現する訳です。
ちなみにそれに対し、必ずしもリスナーは同じ解像度でその演奏を感じているとは限りません。
通常、演奏者よりもリスナーのほうが低い解像度でその楽曲を感じますが、稀に非常にリズム感のいいリスナーは演奏者と同じ解像度で感じていることがあります。
このタイプのリスナーは、たとえ初めて何か楽器にチャレンジしたとしても非常に音楽的な音を初期段階から奏で上げることができます。
逆に、解像度の低い(あるいはパルスそのものを感じていない)リスナーあるいはプレーヤーは、どんなに高い演奏技術を獲得したとしても、音楽的な躍動感をその音に宿すことができません。
ちなみに、この解像度の違いあるいはそもそものパルスの存在すら気づかれないことが実は多いんです。
なぜならパルスは「見えない」し「(演奏上)聞こえない」から。
しかし明確にグルーヴや音楽表現の軸として存在し、リズム感やグルーヴスキルのある人にだけテレパシーのようにフィーリングとフィーリングをシンクロさせています。
音楽の三要素の一つとして「リズム」はありますが、つまりリズムは音楽そのものを丸ごと支配する「エネルギー」なんです。
これこそが楽器演奏の難しいところでもあり、面白いところ。
「シンプルなフレーズを如何に音楽的に奏で上げられるか」というところにこそ、プレーヤーとしてのスキルが問われるのです。
ギター挫折者をゼロにするQactusの新機軸メソッド
このように、どんな楽器演奏にも「リズム」という非常に奥深く直感的で原始的なものが明確に宿っているにも関わらず、とくにギターの初期段階では軽視あるいは無視され、「いくつものコードをテキパキと押さえる」という非常に難度の高い課題から始めさせ、そして8割といわれる挫折者を生み出し続けています。
実はQactus、ビギナーが「コードを押さえる」という作業に囚われ過ぎて「音楽を奏でる」という楽器演奏で最も大切な意識を宿せずにおよそ8割が挫折してしまっている従来のギターメソッドに対し、「シンプルなフレーズを如何に音楽的に奏で上げられるか」という非常に原始的かつ重要な要素から積み上げるという非常に理に適った新機軸のギターメソッドで実際に大きな成果を上げています。
楽器演奏のスキルとしてとくに重要なのは「シンプルなフレーズを如何に音楽的に奏で上げられるか」ということ。
具体的にはパルスやグルーヴ感などで構築される「リズム感」と、ひとつひとつの無機的な音を有機物に変える「音楽表現の力」を養うプログラムをまず最初のステップとして取り入れ、多くのビギナーが砕け散っている退屈で煩わしい「コード運指の上達過程」を滑らかにし、「楽しく、遊び、上達する」という極めてシンプルな方法での問題解決を実現しているのです。
つまり、リズム感や音楽表現というこれまでビギナーには無縁だった、しかもどのような楽器にも有用な感覚に対し、ビギナーが初期段階から向き合えるようにしたのがQactusなのです。
だからこそ、今回の「グルーヴの正体」に関してはできるだけ多くの人々(ビギナーに限らず)に理解していただきたいと思って書きました。
とはいえ、グルーヴのすべてを理解できた訳ではありません。グルーヴは奥が深いのです。
グルーヴは、今回の内容をきちんと踏まえて演奏する意識を持つことで、ギター(あるいは他の楽器も含め)を上達していく過程で感覚として養われるものなので、楽しみにコツコツと上達していってください。
リズム論は活字にすると決して簡単なものには見えないので厄介なのですが、どんなジャンルを演奏するにも、どんな楽器を演奏するにも、必ず役に立つものなので、ギターあるいはギター+Qactusを通じて多くの方々に理解していただけたらと思っています。
ちなみに今回の投稿を経て、QactusCoreにあるストロークパターンをより深く捉え、できる限り忠実に再現しようとする意識が芽生えるだけで、ビギナーには充分なトレーニングとなるので、決して難しく捉えずに、楽しく、遊び、上達してみてくださいね。
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