「手が小さいからギターに向かない」の誤解を救う、カクタス

「手が小さいからギターに向かない」の誤解を救う、カクタス

挫折しやすいタイプ、挫折しにくいタイプ

自著「大人のための3日間楽器演奏入門 誰でもバンド演奏できるプロの裏ワザ(講談社)」でも言及していますし、楽器挫折者救済合宿やその他の現場でも「私は手が小さいからギターには向かないんです」と言って諦めてしまうビギナーがとても多いです。

都合の良い理由なのでしょうか。皆さん誇らしげにその小さな手を見せびらかします。
ちなみに私の著書にはこんなふうに書かれています。

「うまくいかない理由を自分自身の考えで特定してしまうタイプは挫折しやすい」
まさに「手が小さい」と自分自身で決めつけて、そのせいにしてしまっている挫折者のことを言っている訳です。

まだギターのことなどほとんど分かっていないのに、挫折原因を勝手に特定しているんです。

水泳に例えるならば「私は水に浮かばない体質だから泳げない」と言っているようなもの。
ギターも同じで、その道の経験者から見たら失笑されてしまうような恥ずかしい言い訳なので、心当たりのある挫折者は注意しましょう。

逆に言えば、挫折しにくいタイプというのは「うまくいかない原因を自ら特定しない人」であると言えます。

手の大きさとギターの不利有利

「手が小さいからギターに向かない」という理由を人にアピールしたことのある挫折者の皆さんには残念なお知らせですが、先ほどの水泳の例と同様、少なくとも世界レベルのプロを目指すつもりでなく、一般社会人の趣味のレベルを目指す程度のことであれば、手の大きさで挫折することはありません

手の小さなプロギタリストも大勢いますが、みんな難なくギターを弾いています。
よほどの変なコードやフレーズで、例えば1フレットと7フレットを同時に押さえなければ演奏できないような楽曲も世の中には存在するので、そういった場面では手の大きさに不利有利の差は出ますが、ビギナーはもちろん、少なくとも普通の社会人プレーヤーには一生縁のない演奏技術なので、これからギターを始めるビギナーの「手が小さいの向いていない」という理由はつまり大間違い

逆に、エレキギターなどで15フレット以上の非常に幅の狭いスペースで速いフレーズを弾くようなプレイスタイルを目指す人(とくに男性)の中には、指が太すぎてうまくポジショニングができないという悩みをお持ちの人も実際いて、「大きな指輪でなく、小さな腕輪を指にはめているんだよ」という冗談をいう、指の太いプロのギタリストがいるのですが、そんな彼もいわゆるコード弾き中心のビギナーレベルのギターに関してはまったく問題ない訳です。

手の大きさによる向き不向きといった問題は、よほどの超絶技巧を目指す段階でなら起こり得ますが、少なくともビギナーがギターを始めるといった段階では万に一も起こり得ないということを、ここできちんと踏まえておいてくださいね。

小さな誤解でギターは挫折する

たとえプロでも、最初はコードなんてうまく押さえられる訳がないんです。
なぜなら、生まれてから今までそんな奇妙な指の形に挑戦したことなんてない訳だから。

お目当てのポジションにそれぞれの指が届かなくて当たり前でしょう?
あれこれ頑張ってみて、なかなか指が届かないから「手が小さいせいだ」となる訳です。

人間は「自分の頑張りが足りなくて挫折した」と公に認めるのが嫌な生き物なので、手の大きさのせいにしたりするのかも知れませんし、そう言う意味では便利な言い訳だったのかも知れませんが、恥ずかしい言い訳であるということを知ってしまった皆さんにとっては、いよいよ逃げ道がなくなってしまいましたよね。

あるいは本当に手の大きさが原因だと悩んでギターを辞めてしまった人にとっては、この投稿が救いとなる可能性も大いにあるので、再起をかけるキッカケとなれば幸いです。

しかしながら手の大きさを理由に挫折する大多数のビギナーを救うことはなかなか困難ですよね。
最初から指が何とかお目当てのポジションに届けば、こんなつまらぬ勘違いで挫折する人は出て来なくなるんですけどもね。

「指が届かない」をなくす、Qactusのさりげない狙い

ギターを始めたばかりのビギナーに「指が届かない」というストレスを与えないための知恵が、実はQactusには隠されています

「手が小さい=ギターに不向き、は間違いであるという事実を世の中のほとんどのビギナーが知らない」と仮定すると、そんな彼らを根こそぎ守り抜くには、「今は届かないその指も、練習を積み、慣れれば難なく届くようになる」といった正しいアドバイスさえ用いずにこの問題をブレイクスルーしなければなりません。

ある程度の運指スキルが身に付くまでの期間、ビギナーの指をストレスなくお目当てのポジションに行き届かせるためには、ビギナーの手を大きくするか、ギターを小さくするか、のどちらかでしょう。

どちらも難しそうですが、Qactusは後者を選択しました。

カクタスによるフレット幅の比較

Qactus装着時の1〜3フレットは、通常のギターの3〜5フレットにあたるため、コードフォームの幅に少しの差が生じます。
見た目ではそれほど大きな差には見えないかも知れませんが、この差がビギナーにとっての「指が届かない」という問題に対し、絶大な効果を発揮するんです。

ビギナーにとっての「指が届かない」という問題は、ある程度の運指スキルが宿るまでの初期段階に集中しているため、この初期段階を乗り越えられるかどうかが勝負のカギとなります。

Qactus卒業の頃にはビギナーの手に充分な運指スキルが宿っているので、Qactusを外した状態でのいわゆる通常の1〜3フレット間にも対応できる力を持っています。

「指が届かない」というストレス、つまり「手が小さいからギターに向かない」という誤解にたどり着く隙を与えず、しかも「手が小さい=ギターに不向き、は間違い」といった説明を一切せずとも、この問題を解消しているのです。

ちなみに、ギターに興味を持ち始めた小学生など、実際とても手が小さくて通常のギターでは困難であるという場合にも(※大人のいう“手が小さい”とは意味が違います)最初からQactusを選択することはひとつの得策と言えるでしょう。

ギタービギナーを救うための英断

このように、ギターを始めるにあたってビギナーがQactusを選択することにより、知らぬうちに大きな挫折リスクがさりげなく解消します。

しかしながらこの機能、実は構想段階から開発者がずっと迷っていた部分でありました。

通常のギターの3〜5フレットをベースとした教材+ツールを開発するとなった際、厳密には同じではないにせよカポタストを2フレットに装着した状態と同じキー設定になるという、少々厄介な問題が以降あらゆる場所でついて回ることになります。

これによりQactusCoreメソッドが多少トリッキーにはなったものの、Qactusを正しく使用する限りビギナーに直接デメリットとなることはなく、「キーが変わる」というデメリットよりも「手が小さいのでギターに向いてない」といったつまらぬ誤解で挫折していく無数のビギナーを救うことができるというメリットを選択したという経緯です。

Qactusには、このようにわざわざ機能として言及されていないにも関わらず重要な狙いを背負った特徴が多々あります。
それは楽器挫折者救済合宿を始め、あらゆる現場でビギナーを救うために練りに練られた知恵をこの小さな教材に凝縮した結果です。

とくに「手が小さいからギターに向いてない」という勝手な誤解を持つ無数のギター挫折者に対し、一切の説明をせずに問題解決に導けたという点は、Qactusの機能の中でも際立ったものであります。

くじけたら、カクタス」、のそのキーワードは、このようなさりげない機能の数々によって導かれた、非常に力強いものであるということを少しでも感じていただけたら幸いです。