Qactus-カクタスを使ってギターを“指一本で弾くこと”からビギナーは何を得るのか
- 2017.11.22
- Qactus-カクタス
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“指一本でコードが鳴らせる”についての正しい解釈
Qactusに備えられた第二番目の能力「初期段階の困難を乗り越えるための機能」のうち、「指1本程度でコードが鳴らせる」という特徴に関して、安易な先入観でネガティブなイメージを持つ人が稀にいるようです。
たとえばこんなコードフォームがあります。
あるいはこんなコードも
これらはギターで普通によく使うコードで、経験者は寝てても押さえられるフォームですが、まだ初期段階を越えていないビギナーはそれなりに苦労します。
各弦がきちんと鳴らせるかどうかはひとまず置いといて、それ以前の段階の話をしますね。
ビギナーにとっての、運指の壁
その段階のビギナーは、これらのポジションにすべての指を「1アクション」で置くことができず、ひとつひとつのポジションをひとつひとつ順番にぎこちなく押さえにかかり、そしてすべて整った時点でようやくジャラーンと撥弦する、という非音楽的な「作業」をします。
これはひとつの上達のステップなのでしょうがない。いきなりすべての箇所に指がポンと乗せられるスキルがまだ無い訳ですから。
当たり前ですが、この段階ではビギナーは何か曲を奏でるといった楽しい感覚を味わうことはできません。
この壁を早期に越えられればよいのですが、この辛い期間があまりに長いと、やはり挫けてしまうビギナーがドドドドッと出てきます。
さて、彼らがギターを本格的に嫌いになり、永遠にギターを放り投げてしまう前に、仮に、Qactusを試すことにしましょう。
最初に出てきたほうのコードフォームが、Qactusによってこのように指1本で鳴らせるようになります。
せっかくなので、もうひとつのほうのコードも
どちらもQactusの機能のおかげで指1本で演奏できる状態になりましたね。
ちなみに、どんな人もスマホをいじる時(画像の拡大縮小のような指2本の特殊な操作を除き)基本的には指1本程度で文字入力したりその他様々な操作をしたりしますよね。
つまり、指1本をお目当ての場所にポンと置くことぐらいなら誰にでもできる訳です。
これで先ほどの挫折要素は一旦は回避できたことになりますが、指1本でコードが押さえられるからといってギターが簡単だと言っている訳ではありません。
「コードを押さえる」というのは、単に「各音程を準備する仕込み作業」に過ぎず、ギターを演奏する上で本当に難しいのは撥弦つまり「弦を鳴らして音楽にすること」ですよね。
後者こそが「ギターに命を吹き込むアクション」である、ということをきちんと知っている経験者なら、前者の作業を多少簡略化したとしてもむしろギター上達のステップとして有効な方法であり、簡略化を避けたビギナーが当たって砕け散るよりは遥かに有意義であることぐらいは想像できるはず。
“ギターを簡単にする”のではない
ギターというのはザックリ言うと「木と針金を鳴らして音楽にするもの」なので、何らかの音は出せたとしてもそれが「音楽」になっているとは限りません。
風の強い日に剥がれかけたトタン屋根が発しているあの音が「音楽」ではないのと同じで、その原始的な木と針金で「音楽にする」ためには演奏者の心やスキルが要るのです。
この心やスキルを磨くためにQactusが一旦その煩わしい「作業」を軽減して差し上げたに過ぎない訳です。
「音楽にする」という非常に難しくて面白いものを最初からきちんと味わい、遊んでいるうちに運指も含めてスキルアップし、そしてあの5人に4人が越えられない憎き壁を確実に乗り越えましょう、とQactusは言っているのです。
Qactusの「指1本で弾ける」というメッセージは、「ほら、ギターは簡単でしょ?」ではなく「ギターは難しい、だから面白い」なのです。
ギターの難しさを知っている人なら前者のような誤解をする筈はないと私は常々そう信じています。
なぜならギターの本当の難しさは撥弦にあり、だからこそ多くの人々にとっての「利き腕」がそれを担っている訳ですよね。
演奏力だけでなく、正しくギターの難しさを知るのにもそれなりのスキルが要ります。
実は、一見上手に弾けてるふうに見える人でも、なんとこれに気付いていない人というのは、社会人プレーヤーには案外多いのです。
月並みですが、やはりどんな楽器も奥が深いんです。
Qactusのフォーム、通常のフォーム
そんな世の事情もあり、「指1本で弾ける」のQactusの機能に関して、稀にネガティブな意見が出ることがあります。
「Qactusで指1本でコードが押さえられるようになっても、普通のコードをまた覚え直さなきゃいけないんじゃないの?」といった声をSNSなどで時々見かけるのですが、このような安易な先入観で彼ら自身のチャンスを逃してしまうのは気の毒なので、きちんと説明します。
先ほどのコードフォームを使って進めましょう。
これに対し、Qactusだと
こうなりますね。
ギターに挫折しそうになり、Qactusにすがりついてこの指1本のフォームを覚えたものの、Qactusを卒業したらまた覚え直さなきゃいけない、と思った皆さん、よく見てください。
Qactusのフォームは必ず、本来のコードフォームのポジションのうちの一カ所である、というところに気付くはず。
もうひとつのコードのほうでもチェックしてみましょうね。
これに対し、Qactusを使うと
こうなりますよね。
よく見てみると、やはり本来のコードフォームが省略されただけの「指1本」だということが分かるはず。
よっぽど座標が苦手だという人のために、念のため
この赤いところがつまり、Qactusの「指1本」の箇所だということです。
「覚え直す」のではなく「積み重ねる過程」に過ぎないということにきちんと気付かないと、何より自分自身にとって最後の復活のチャンスを失うことになります。
Qactusが「指1本程度」にこだわる理由
この程度の説明では納得しないビギナーもいるかも知れません。
Qactusがなぜ「指1本程度でコードを押さえられる」という方法で「初期段階の困難を乗り越えるための機能」を達成しようという判断をしたのかについて言及します。
実はQactusには「指1本程度」にこだわる理由があります。
今回のブログの冒頭で触れた件を思い出してください。
その段階のビギナーは、これらのポジションにすべての指を「1アクション」で置くことができず、ひとつひとつのポジションをひとつひとつ順番にぎこちなく押さえにかかり、そしてすべて整った時点でようやくジャラーンと撥弦する、という非音楽的な「作業」をします。
これはひとつの上達のステップなのでしょうがない。いきなりすべての箇所に指がポンと乗せられるスキルがまだ無い訳ですから。
この件です。もちろん覚えていますよね。
Qactus開発者である私が2003年から月イチ以上のペースで開催し、既に延べ数千人が参加している『楽器挫折者救済合宿』の現場にも、まさにこの初期段階を越えようとしてなかなか越えられないビギナーが大勢やってきます。
しかしながら、ある助言でほとんどのビギナーがその壁を越えていくことができています。
そのキーワードは「軸指」。
コードフォームを形作るには「1アクション」が鉄則ですが、もちろんほとんどのビギナーがその1アクションの壁をなかなか越えられません。
しかしながらそんな1アクションの中に「軸指」という感覚があることを、ほぼすべてのビギナーは知りません。
なぜなら「見えない」から。
私がコードチェンジで悩むビギナーに、この「軸指」に関する助言をすると、今まで難航していた運指が嘘のようにスムーズになり、やがて1アクションへと無事に移行していきます。
ここが越えられるかどうかは、初期段階の壁…つまり5人に4人が砕け散るあの鉄壁をぶち破れるかどうかに関わる重要なポイントです。
この「軸指」をとる感覚が、Qactus使用時の「指1本」でギターと遊ぶことによって無意識のうちに指先に宿り始めます。
勝手に宿るものなので、ビギナー自身がそんなことわざわざ意識する必要もなく、だからこそ開発者サイドの心情として極力ビギナーが意識しなくていいものには言及しなくてもよいのかなと、これまでとくにこの点に触れることを積極的にはしておりません。
仮にこの軸指の感覚をまだ自分のものにできていないビギナーが先ほどの二つのコードを
これらを上級者たちのようにパッと1アクションで押さえにいこうとすると、的確な場所にそれぞれの指が配置されず、その状態のままピックで弦をかき鳴らす訳なので…当然、ビギナーがよくやるあの不協和音が鳴り響きます。
一方、軸指の感覚を養ったビギナーは
Qactusで無意識のうちに掴んだ感覚で赤い点(=軸指)を押さえにかかりますが、既に指1本の演奏には慣れているので、他の運指に集中でき、しかも軸をとることで今までふわふわっと指板上空数センチの辺りで漠然と形作っていた曖昧なフォームに明確な秩序ができ、必要な運指をスムーズ且つ正確に行なえるようになるんです。
また、これまでは私が現場で指示してきた助言は、私の目の届く現場では非常に有効でしたが、目の届かない世のビギナーに対しては声も届かない訳で、まったくの無力でした。
それが「Qactusで遊ぶ」というアクションを通じ、軸指の感覚をビギナーの指先に無意識のうちに宿すことができるようになり、実際に確かな成果として確認されています。
Qactusが「ギターを簡単にするオモチャ」ではなく「挫折者をゼロにする補助ツール」であるという理由が、この点からも分かるはず。
実際に挫折者を救っている有効なツールに対し、なぜネガティブな発想を持つ人がいるのか
こんなふうにきちんと説明しても情報はすべてには行き届かず、また安易な先入観が一部ネットに上がってきたりもするのかも知れませんが、それは何度も言うように、Qactusがこれまで存在しなかったものだから、という理由でしかありません。
ちなみに「ギターは撥弦こそ難しく、奥深く、そして楽しい」ということをきちんと知っている人たちはQactusの狙いにピンとくる傾向にあるようで、プロのギタリストとして第一線で活躍している諸先輩方からはほとんどネガティブな意見は出ません。
「コードフォームを作る」というアクションは単なる「各音程を準備する仕込み作業」だと捉えているからこそ、だと思います。
逆に、コードフォームを作る作業がすべてだと思っている人々は、ひょっとしたらネガティブに捉えやすいのかも知れません。
とくに自力で頑張って乗り越えてきたギター経験者が「ギターを簡単にするオモチャ」のようなものを見たら、それはやっぱり面白くないのでしょうね。
押弦するポジションがちょっと減ったからと言って、ギターは簡単になんかなりません。
ギターは難しい、だから面白い。
それときちんと分かっているギタリストは「まず指1本から始め、積み上げて“あの壁”を乗り越えるQactusの手法」に対し、ネガティブな意見を発しません。
なぜなら、ギターは難しく、そして何より、面白いから。
Qactusが「ギターを簡単にするオモチャ」ではなく、これまで業界が何をやっても動かすことのできなかった統計上5人に4人の挫折者たちを確かに動かしている「挫折者をゼロにする補助ツール」であるということを知らない人はまだまだ多いです。
なぜなら、くどいようですがそれはやはりこれまで世になかったものだからに他なりません。
この現状唯一の可能性を安易な先入観で潰し、これまでと同じように80%のビギナーと彼らのピカピカのギターを見捨ててしまえという人たちがいるのだとしたら、それは調和を目指す「音楽」というものを扱う者の一人として、非常に悲しいことだと感じています。
「軸指」に限らず、私が現場でビギナーに直接出してきた多くの指示や助言がQactusには機能として凝縮されていて、人々が思うよりもずっと高い次元にある珠玉のアシストツールとして完成されているんです。
悲観する人たち、まず安易に声を発し、後に「しまった」となる前に、世の中のビギナーの挫折率がこれからどう変化してゆくのか、向こう10年は黙って見ておいたほうがよいと思いますよ。
数千人の現場で徹底的に練られて開発されたQactusのすべてを説明するのもなかなか大変なことではありますが、根気強く少しずつ発信していきますので、皆さんも根気強くついてきてくださいね。
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